干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 あははと(とぼ)けて頭をかきながらも、健太の表情は硬かった。

「どういうことですか?」

 美琴は眉を寄せながら健太の近くに歩み寄る。


「うん……。あのね。前に、美琴ちゃんが言ってたSNSなんだけどね……」

「あのSNSですか?」

「うん。あれね……」

 健太は随分と迷っているのか一旦口を閉ざし、床を見つめている。

「東さん……?」

 しばらくして呼びかけた美琴の声に、健太はゆっくりと顔を上げる。


「あのSNSは、俊介のものなんだ」


「……え」

 美琴は思いもよらなかった健太の言葉に、目を見開いたまま呆然とした。


 ――あのSNSが、副社長のもの……?


 写真を見る度に、勇気をもらって励まされてきたSNS。

 どんな人が投稿しているんだろうと、いつも心の片隅にあったSNSの人。

 いつかお礼を言いたいと願って憧れていた人が、今まさに自分が恋焦がれてたまらない人だったなんて。

 そんな偶然があるんだろうか。

 美琴はしばらく言葉を失い、その場に立ち尽くしていた。
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