干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「でも副社長から連絡がないって、それが答えなのかなって……。前に東さんが言ってたじゃないですか。副社長は自分の想いを犠牲にしても、緑化事業部と会社と社員を守る人だって」

 美琴の瞳はだんだんと潤んでくる。

「でも、美琴ちゃんにとっては辛いね……」

 首をうなだれて下を向く健太の姿を眺めながら、美琴は今までの出来事が頭の中で駆け巡った。


 ――副社長がSNSの人だった……。


 それを知った今だからこそ、痛いほどにわかる。

 今まで自分はどれだけ俊介に助けられ、励まされてきたのかという事を……。

 新プロジェクトに入ってから、美琴の側にはいつだって俊介がいてくれた。

 幸せな時も、楽しい時も、辛く苦しい時も……。


 そして美琴が辿った記憶は、自分が医務室に運ばれたであろう時でぴたりと止まる。


 ――あのふわふわとした感覚……。心に響く低い声……。


 それは頭の中で、渓谷で聞いた福さんの言葉と重なった。


『雅也くん位の歳の人で、いい男だったって言ってたよ。良いもの着てたから、ありゃ都会のエリートだねって笑ってたさ』


 美琴は、はっと顔を上げると健太を振り向いた。

「東さん。一つ聞いて良いですか?」
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