干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「今日は打ち上げっすね!」
瑠偉が滝山にじゃれつき、はしゃぎながら歩いている。
「内田くん。展示会の本番は明日からでしょ!」
追いかける胡桃の鋭い声が聞こえてきた。
美琴はその姿を見ながら、つい健太と滝山と部長の三人の後ろ姿に重ね合わせる。
――あの頃は、隣に副社長がいたんだ……。
「大丈夫か?」
部長に声をかけられて、美琴ははっと我に返った。
「あの。部長。明日からの展示会なんですけど……。メンテナンス後の案内係は、私がやっても良いですか?」
美琴は下を向いたまま声を出す。
今回のメインスペースは、来場者が歩いて中を通れる仕様になっている。
本来の予定では、開場前にメンテナンスをし、交代で1名が残って案内係をすることになっていた。
――会場で、副社長を待ちたい。
来ないかもしれない、いや来るはずはない、そう心で思いながらもどうしても美琴は諦めきれなかった。
「わかった。気が済むまでずっといろ」
部長はほほ笑むと静かにうなずく。
「ありがとうございます」
美琴は、こぼれそうになる涙を必死に堪えながら、小さく言った。
瑠偉が滝山にじゃれつき、はしゃぎながら歩いている。
「内田くん。展示会の本番は明日からでしょ!」
追いかける胡桃の鋭い声が聞こえてきた。
美琴はその姿を見ながら、つい健太と滝山と部長の三人の後ろ姿に重ね合わせる。
――あの頃は、隣に副社長がいたんだ……。
「大丈夫か?」
部長に声をかけられて、美琴ははっと我に返った。
「あの。部長。明日からの展示会なんですけど……。メンテナンス後の案内係は、私がやっても良いですか?」
美琴は下を向いたまま声を出す。
今回のメインスペースは、来場者が歩いて中を通れる仕様になっている。
本来の予定では、開場前にメンテナンスをし、交代で1名が残って案内係をすることになっていた。
――会場で、副社長を待ちたい。
来ないかもしれない、いや来るはずはない、そう心で思いながらもどうしても美琴は諦めきれなかった。
「わかった。気が済むまでずっといろ」
部長はほほ笑むと静かにうなずく。
「ありがとうございます」
美琴は、こぼれそうになる涙を必死に堪えながら、小さく言った。