干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
大切な景色の前で
「東さん。一つ聞いて良いですか?」
ドーム入りの前日、温室で美琴ははっと顔を上げると健太を振り向いた。
「一年前のこの日、副社長は誰かを助けたって言ってませんでしたか?」
詰め寄る美琴に健太は背中を反らしながら、SNSの写真と日付をまじまじと眺める。
「うーん。人助けって事?」
「はい」
「いや。そういう話は特には聞いてないと思うなぁ。聞いてたら印象に残ってるはずだけど……」
健太は首を傾げながら、スマートフォンを取り出しスケジュールを開く。
「そうですか」
美琴は肩を落とし下を向いた。
「あぁ、そういえば……」
画面を覗いていた健太が声を出し、美琴は顔を上げる。
「関係があるかはわからないけど、手首を痛めてたな。休み明け……」
「え?」
「いや、この頃って新プロジェクトの話が急に出たりして、バタついてた時なんだよ。それで手首を痛めたけど病院に行けないからって、俺が医務室で湿布だけもらったんだよね」
「手首……」
健太は遠くを見つめるような目をしている。
「まだ一年しか経ってないんだなぁ。俊介ってスポーツする訳でもないし、大きな物でも持ったのかなって、思ってたんだよね」
美琴は自分の手の平をじっと見つめていた。
――きっとそうだ。あの日、私の手をつかんでくれたのは副社長だ。
ドーム入りの前日、温室で美琴ははっと顔を上げると健太を振り向いた。
「一年前のこの日、副社長は誰かを助けたって言ってませんでしたか?」
詰め寄る美琴に健太は背中を反らしながら、SNSの写真と日付をまじまじと眺める。
「うーん。人助けって事?」
「はい」
「いや。そういう話は特には聞いてないと思うなぁ。聞いてたら印象に残ってるはずだけど……」
健太は首を傾げながら、スマートフォンを取り出しスケジュールを開く。
「そうですか」
美琴は肩を落とし下を向いた。
「あぁ、そういえば……」
画面を覗いていた健太が声を出し、美琴は顔を上げる。
「関係があるかはわからないけど、手首を痛めてたな。休み明け……」
「え?」
「いや、この頃って新プロジェクトの話が急に出たりして、バタついてた時なんだよ。それで手首を痛めたけど病院に行けないからって、俺が医務室で湿布だけもらったんだよね」
「手首……」
健太は遠くを見つめるような目をしている。
「まだ一年しか経ってないんだなぁ。俊介ってスポーツする訳でもないし、大きな物でも持ったのかなって、思ってたんだよね」
美琴は自分の手の平をじっと見つめていた。
――きっとそうだ。あの日、私の手をつかんでくれたのは副社長だ。