干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
俊介が社長室を出ようとした時、再度父が声をかけた。
「朔人は……私が子会社に連れて行く。そこでしっかり社会人として、仕事の仕方を学ばせるつもりだ」
俊介は驚いて振り返る。
「そんなこと、朔人は納得するんですか?」
「納得させるさ。だから私も一緒に子会社へ行く。親バカですまんな、俊介。それでもやっぱり私はあの子が可愛いんだ……」
俊介はチクリとする胸の内で、自分もやはりどこかで親の愛情を求めていたんだという事に気がついた。
「私はお前が子供の頃から厳しく接してきた。どこかで会社はお前に継がせると決めていたのかも知れん。そのせいで寂しい思いをさせてしまった。普通の親の様に接してあげられなかった。その上、お前から母親も奪ってしまった……。そんな事に、今更気がつくなんて哀れな父親だろう?」
父はゆっくりと歩み寄ると俊介の手を取る。
「俊介、お前にはもう立派な仲間がいる。大切な女性もいる。私は安心して子離れできるってものだ」
父は握った手を、さする様に何度もぽんぽんと優しく叩いた。
「頼んだぞ、俊介」
俊介は父の手を、力を込めて握り返した。
「はい。お父さんが立ち上げたこの会社を、必ず守ってみせます」
「朔人は……私が子会社に連れて行く。そこでしっかり社会人として、仕事の仕方を学ばせるつもりだ」
俊介は驚いて振り返る。
「そんなこと、朔人は納得するんですか?」
「納得させるさ。だから私も一緒に子会社へ行く。親バカですまんな、俊介。それでもやっぱり私はあの子が可愛いんだ……」
俊介はチクリとする胸の内で、自分もやはりどこかで親の愛情を求めていたんだという事に気がついた。
「私はお前が子供の頃から厳しく接してきた。どこかで会社はお前に継がせると決めていたのかも知れん。そのせいで寂しい思いをさせてしまった。普通の親の様に接してあげられなかった。その上、お前から母親も奪ってしまった……。そんな事に、今更気がつくなんて哀れな父親だろう?」
父はゆっくりと歩み寄ると俊介の手を取る。
「俊介、お前にはもう立派な仲間がいる。大切な女性もいる。私は安心して子離れできるってものだ」
父は握った手を、さする様に何度もぽんぽんと優しく叩いた。
「頼んだぞ、俊介」
俊介は父の手を、力を込めて握り返した。
「はい。お父さんが立ち上げたこの会社を、必ず守ってみせます」