干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「朔人。お前がやった数々の事は、会社に対しての裏切り行為だ。それをわかってるのか?」
静かに一歩詰め寄る俊介に、朔人は「くっ」と声を漏らす。
「僕だって被害者なんだ!」
朔人は俊介から顔を背けると、叫ぶように言った。
「兄さんは知らないでしょう? 僕の母は、あなたの母親に対して劣等感の塊のような人でしたよ。優秀なあなたを見る度に、僕はいつも罵られた。『朔人の出来が悪いから、自分はいつまで経っても勝てない。全部お前のせいだ』って」
「そんな……」
美琴は思わず声を漏らす。
しばらくして朔人はキッと俊介を見上げた。
「僕は必ず戻って来る。いつか必ず……兄さんを見返してやる」
朔人は静かにそう言うと、くるっと背を向け去って行った。
「俊介さん……」
美琴は俊介の腕をそっと掴む。
俊介は美琴の手を取るとにっこりとほほ笑んだ。
「大丈夫です。朔人もきっと思う所があったんでしょう。でも、父は朔人を見捨ててはいない。きっと多くを学んで戻ってきてくれると信じています」
そう話す俊介の瞳に迷いはなかった。
「はい」
美琴は笑顔になると、俊介の手をぎゅっと握り返し、二人は再び歩き出した。
静かに一歩詰め寄る俊介に、朔人は「くっ」と声を漏らす。
「僕だって被害者なんだ!」
朔人は俊介から顔を背けると、叫ぶように言った。
「兄さんは知らないでしょう? 僕の母は、あなたの母親に対して劣等感の塊のような人でしたよ。優秀なあなたを見る度に、僕はいつも罵られた。『朔人の出来が悪いから、自分はいつまで経っても勝てない。全部お前のせいだ』って」
「そんな……」
美琴は思わず声を漏らす。
しばらくして朔人はキッと俊介を見上げた。
「僕は必ず戻って来る。いつか必ず……兄さんを見返してやる」
朔人は静かにそう言うと、くるっと背を向け去って行った。
「俊介さん……」
美琴は俊介の腕をそっと掴む。
俊介は美琴の手を取るとにっこりとほほ笑んだ。
「大丈夫です。朔人もきっと思う所があったんでしょう。でも、父は朔人を見捨ててはいない。きっと多くを学んで戻ってきてくれると信じています」
そう話す俊介の瞳に迷いはなかった。
「はい」
美琴は笑顔になると、俊介の手をぎゅっと握り返し、二人は再び歩き出した。