干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「ちょっと、失礼……」

 宮本とスタッフは、部屋の隅に歩いて行った。


 美琴は様子が気になりながらも、また温室の中をゆっくりと歩いて回る。

「花瓶の真ん中に、シンボルツリーとして植えて高さを出すなら、やっぱりパキラとかベンジャミンあたりですかね」

「み、見た目も華やかですし……管理もしやすい植物です……」

 美琴と滝山が説明し、エントランスや花瓶の写真と見比べていた時――。


「そんなの、おかしいだろう!!」


 急に大きな怒鳴り声が聞こえ、美琴達は驚いて振り返った。

 どうも大きな声を出したのは、宮本のようだった。


 ――宮さんが怒鳴るなんて、珍しい……。

 美琴が何事かと思っていると、副社長も様子が気になったのか、そちらに歩いていくのが見えた。

「どうしたんですか?」

 副社長の姿を見ると、若いスタッフは、ぱっと目を逸らし下を向く。

「何でも……ありません」

 副社長は首を傾げてから、宮本の方に顔を向けた。
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