干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「どうも上から、連絡があったみたいなんですよ」

「上から?」

 みんなの顔が、若いスタッフの方へ向く。


「ふ、副社長のプロジェクトには……温室のグリーンを使わせるなって……」

 しばらく経ってから、そのスタッフはゆっくりと口を開く。


「え……」

 その場にいたみんなの表情が、一瞬で固まる。


「誰が……誰が、そんな事言ったんですか?!」

 美琴が駆け寄り、スタッフに詰め寄った。

「ぶ、部長が……相馬部長から、電話が入って……」

 美琴の剣幕に押され、電話を取っただけのスタッフは、涙目になりながら小さく言った。

「おかしな話だ。全く……」

 宮本が大きくため息をつく。

「そうですか」

 副社長は腕を組んで、何か考えているようだった。


「私……部長の所に、行ってきます!」

 美琴は大きな声で叫び、そして温室を飛び出した。

「友野さん!」

 後ろから副社長の声が聞こえた気がしたが、美琴の足は止まらなかった。
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