干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「部長、お騒がせしました」

 副社長が、部長の顔を見据える。


「組織にいれば、避けられないこともあります。でも、一つだけ……」

「はい?」

「……友野さんはまだ、信じてますよ。……あなたのこと」

 部長が、息を吸う音が聞こえた。


「僕は……それを信じたいと思いました」

 副社長の言葉に、部長の瞳が少しだけ見開く。


 その時、バタバタと大きな足音がして、メンテナンス部のスタッフが飛び込んできた。

「部長! またやられました!」

 その大きな声に、みんなが一斉に入り口を振り向いた。

「何を?」

「トータルに、営業先を横取りされたんですよ!」

 汗を拭いながら部長の近くに寄ったスタッフは、場の雰囲気に一瞬目を泳がせる。

「あ、すみません……。お取込み中でしたね……」

 そそくさと背中を丸めて退散しようとしたスタッフに、副社長が手を伸ばした。


「ちょっと、その話。詳しく聞かせてもらえませんか?」
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