干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「俺も周りの評価を鵜呑みにして、わかってなかったって事ですよ」

「どういう事ですか?」

 俊介は不思議に思い、首を傾げる。

 
 部長はしばらく黙っていたが、心を決めたように頷くとゆっくりと口を開いた。


「……あなたはやっぱり、人の上に立てる人だ」


 部長はそう言うと、照れた様子ですぐに目を逸らし、さっと前に歩き出す。

「部長……」

 俊介はその後ろ姿を、静かに見つめていた。



「二人ともー! 遅いですよー」

 両手を振っている美琴の、大きな声が夜の街に響いている。

「ぶ、部長ー。友野さんが焼き鳥って言うんですぅ」

「お! 焼き鳥か、いいねぇ」

「タッキーは諦めが悪いなぁ」


 楽しそうな声を聞きながら、俊介は星が瞬いている夜空を見上げた。


「はじめてだ……。こんなに楽しいと思って仕事したのは」



「副社長ー」


 美琴の呼びかける声が、心地よく耳に響いた。

 前を見ると、手を振る四人の仲間の顔があった。


 俊介は笑顔になり、思わず前に向かって駆け出していた。
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