腕の中で、愛でる
日常
季節は、春。

御影と華澄は、幼馴染みで今年高校の入学式を向かえたカップルだ。
入学式は先日終え、今日から学校が始まる。

同じマンションに住んでいる、二人。
御影は、兄・千影(ちかげ)と二人暮らし。

御影と千影は、年が20歳離れていて千影は会社経営者だ。
御影は、華澄と少しでも一緒にいたいが為に千影のマンションに引っ越してきたのだ。


「おはよ」
「おはよ、早く食え、飯」

目をこすり起きてきた御影に、千影が顎でテーブルの上を指した。
あくびをしながら、椅子に座り朝食をとる。

そして準備をして、自宅を出た。
「行ってくるー」

「ん。行ってらっしゃい。
スミによろしく~」


玄関でてすぐ、隣の玄関に向かう。
呼び鈴を鳴らすと“どうぞ~”と男性の声が、インターフォンから聞こえてきた。

「お邪魔ー」
ドアを開け、中に入る。

キッチンに澄義(すみよし)(華澄の父親)がいて、換気扇の下で煙草を吸っていた。
そして、御影の姿を認めると“今、支度中”と言った。

「うん。
あ、千影がね。よろしくって」
「ん。
千影から聞いた?」

「ん?何を」
「元・“蓮義(はすよし)”の飲み会」

「え!?集まるの!?」
乗り出すように澄義を見る。

「あぁ。久しぶりにな!」

「何処で!!?俺も行きたい!」

「いつもの(みやび)

「行く!」

「俺はいいけど、千影に許可とりなよ?」

「わかった!」


「━━━━━何処に行くの?」
そこに、華澄が入ってきた。

「あ、カスミン!おはよぉー!
はぁ…可愛いぃぃー!」
華澄に近づき、抱き締める。

「おはよ!
みぃくんも、カッコいいよ!」
「ありがとうー!
はぁ…可愛すぎて、ため息しか出ない…」

「………」
「ねぇ、カスミン」
「何?」

「みぃくん、ちゅきって言って?」

「…………だから!何で、赤ちゃん言葉なの?」

「だってぇー、その方が可愛いじゃん!
はい!どうぞ!言って?」

「みぃくん…ちゅ、ちゅき…////」
つい、最後の声が小さくなる。

「はぁ…ヤバい……//////何、この、破壊力…!!」

「もう、やだ!こんなこと言わさないでよ!/////」
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