腕の中で、愛でる
御影には、憧れている人達がいる━━━━━━━

兄である千影。
華澄の父親、澄義。

そして、あともう二人。


シングルベッドに、御影と華澄がぴったり抱き締め合って眠っている。

御影が身動いで、目を覚ました。
華澄が落ちないように、更に自分の方へ引き寄せた。

「可愛い…
つか、俺のベッドで寝りゃあ良かったな(笑)
華澄がちっちゃいからいいか!」

華澄のつけているピアスに触れる。
そしてネックレスに触れ、指を絡ませて握った。

「もっと、もっと……形がほしいなぁー
華澄が俺のモノって形」

いっそのこと“妊娠”でもさせる?

「いやいや、さすがに澄義に殺される……」


“御影。
いいか?
付き合うのも、愛し合うのも構わない。
お前が、華澄を本気で好きなら。
でも、妊娠は認めない!
高校卒業するまでは、ちゃんと我慢してけじめつけろ!”

中2の時に、言われた言葉だ。
御影の鋭く恐ろしい目が、今でも御影の目に焼きついている。

“けじめつけられないなら、華澄はお前に渡さない。
わかってると思うが……
お前は何でも周りを自由に動かせるが、俺は思い通りになんかならねぇからな!”


「わかってるっつうの!!」

水を飲もうと思い、腕枕していた華澄の首の下からゆっくり腕を抜く。
「カスミン、すぐ戻ってくるからね!
ゆっくりねんねしててねー」
頬にキスをして、華澄の部屋を静かに出た。

ダイニングキッチンに向かう。
「ん?電気……ついてる?
あぁ、澄義が帰ってきたのかな?」

ドアを開けると、煙草と酒の臭いが充満していた。

「おっ!起こした?」

「千影?」

「御影、華澄は?」

「寝てるよ」

「御影さん、こんばんは!
お邪魔してます!」
「え?え?
伸明(のぶあき)?」

「はい。お久しぶりです!」

「マジで!!?
伸明だー!」

月城(つきしろ) 伸明。
千影と澄義の学生の時からの親友だ。

「あ!ねぇねぇ!
飛馬(ひうま)はー?」
「いるよー!」

天野(あまの) 飛馬。
同じく、御影や澄義の親友。

飛馬は電話をしていたようで、ダイニングキッチンに入ってきた。

「スゲー!!
四人が揃ってる~!!」

御影・澄義・伸明・飛馬は、御影の憧れの四人だ。
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