腕の中で、愛でる
恋心
それから数日して、御影達のクラスに転校生が来た。
言わずもがな、飛馬の息子・静馬だ。



天野 静馬。
御影・華澄・真理の小学生の時の同級生で友人。

中学入学と同時に、飛馬の仕事の都合で引っ越したのだ。

“二・三年で帰ってくる”と言い残して。


「天野 静馬です!
よろしくね!」
柔らかく微笑む、静馬。

女子は、一気に心を奪われていく。

「しずくんだ……!」
「あ、カスミン!
あんま、シズシズを見ないでー!」

「え?そんなつもり……」


「━━━━━御影、華澄、真理。
久しぶり!」
「うん!久しぶり!」
「久しぶり!元気そうだな!」
「………」

微笑む華澄と真理。
御影は、黙って静馬を睨み付けていた。

「みぃくん」
「ん?なぁに?」
華澄には、優しく微笑む。

「大丈夫だから。
ね?ちゃんと、挨拶しよ?」

「…………うん。久しぶり、シズシズ」

「うん。
あ、今日学校終わったら、遊ぼ?
連れていきたいとこがあるんだ!」

「やだ!」
「みぃくん…」

「やだ!やだ!やだ!」
「みぃくん、行こ?
私は……行きたいな……!」

「………は?なんで?
華澄、まさか…?!」
「違うよ!みぃくんの思ってるようなことはないよ!
ほんとだよ!」

「…………わかった」
少し、考え込み頷いた。


静馬が連れてきた所は、街中にある開店前のバーだ。
「しずくん、ここ……バーだよね?
ダメだよ!
未成年は入れないよ!」

「大丈夫!
まだ開店前だし、大人もいるよ?」
「え?」

「いらっしゃい!華澄」
「飛馬くん/////」

「フフ…可愛いなぁー」
飛馬が頭を撫でようとする。
しかし、それは敵わなかった。

「飛馬!!やめてよ!!」
「ちょっ…父さん!!」
御影と静馬によって、阻止されたから。

華澄を、守るように抱き締める御影。
「飛馬は、相変わらずだね(笑)
この光景、懐かしい!」
真理が笑っている。

「フフ…可愛いなぁー、みーんな!
華澄、ほんとに華凪に似てきたな!」

「━━━━━!!!?」
華澄の身体が、強張った。

やめて。
やめて。
やめて。

ママと一緒にしないで!
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