腕の中で、愛でる
「━━━━━キャー!!カッコいい~!」
「やっぱ、1Sはイケメン揃いだよね!」

体育は男女別で、男子が運動場でバスケ、女子は体育館でバレーをしている。

待機中の女子達が、試合中の女子ではなく外の男子の試合を見ていた。

華澄も、どうしても外が気になる。

それは、御影・真理・静馬が試合中だからだ。

三人が、シュートを決める。
その度に、キャー!!と黄色い歓声があがる。


華澄は、静馬に見惚れていた。
(飛馬くんに、似てる……/////)

澄義に、高校生の時の写真を見せてもらったことのある華澄。
高校生の頃の飛馬にそっくりなのだ。

「フフ…華澄、見惚れてるー(笑)」
「御影くんに、惚れ直したとか?(笑)」
晴音や他の友人にからかわれる。

「う、うん…」

違う━━━━━━
見惚れてたのは、御影ではなく静馬。

(私、最低……)
華澄は、自己嫌悪に陥っていた。

「次のグループの番よ~」
「ほら、華澄!行くよ」

華澄は、モヤモヤ気持ちのままコートに入る。
試合が始まる。


「華澄、行ったよー」
「華澄ー」

ボールが向かってきているのに、華澄はボーッとしていた。

「「「華澄、危ない!!?」」」

「え?
━━━━━━あっ!!?
………っつあ…ったい…!!!」
咄嗟に顔を庇い、指を突き指した華澄。

「華澄!!?」
「大丈夫!!?」

「う、うん…ごめん、ボーッとしてた……」

「とにかく、保健室に!」
晴音に支えられ、体育館を出た。


その頃の御影。

「御影ー!」
「ん?」

「なんか、女子の様子がおかしくてさ!
聞いたら、華澄ちゃんが怪我したらしいぞ!」
応援席にいた男子が、御影に焦ったように言ってきた。

「は?怪我!!?」

御影が、脇目も振らず保健室へ駆けていった。


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