腕の中で、愛でる
「カスミン、ピアスは!?
俺とお揃の!!」
華澄はボブスタイル。
普段は、髪の毛で耳が見えにくい。
先程、髪の毛を耳にかけたので耳が見えたのだ。

「え?鞄に入ってるよ」
「は?なんで!?」

「学校ではつけちゃいけないから」

「だから!それは!
中学まででしょ!?
ほんとは、そんなの関係なくつけててほしかったのを、高校に入学するまで我慢したでしょ!?
だから、これからはずっとつけててよ!」

御影達の通う学園。
中学までは、規則が厳しい。
(まぁ、御影や真理は破ってばっかだったが)

しかし、高校から途端に規則が緩くなるのだ。

派手でなければ、髪の毛のカラーや化粧、アクセサリーなど……問題ないのだ。

もちろん、体育の時はアクセサリーは外すなどの細かい決まりは所々存在するが。

「そんな、怒んないでよ……」
まるでぶつけるように言葉を並べる御影。
華澄の瞳が切なく揺れた。

「あ…ご、ごめんね!!
ごめん!カスミン、泣かないで!」

「私は、学校だからちゃんとしたかっただけ。
ピアスも、指輪も、ネックレスも、ちゃんと大切にしまってるよ?
家に帰ったら、ちゃんとつけてるんだよ?」

「うんうん。そうだね!ごめんね!」

「そうゆうみぃくんこそ、ダラけすぎ!
髪の毛は明るくなったし、ネクタイはちゃんと締まってない!ブレザーもボタンがあいてるし!
ピアスも指輪も、ネックレスもしてる!」

「いいでしょ?
カスミンとは、常に繋がってたいんだもん!
でもこんなにアクセつけて着崩してても、俺カッコいいでしょ?」
「そうだけど…」

「━━━━━カスミン、出して?」
手の平を出し、微笑む御影。

「え?」
「ピアス、鞄の中なんだよね?
出して?」
御影が、有無を言わさぬ表情をしている。

「………うん」
鞄の中から、華澄の好きなキャラクターの小さなポーチが出てきた。

ポーチの中には、ピアスはもちろん、ペアリングとペアネックレスが入っていた。
今、御影が身につけている物と同じだ。

「はーい、カスミン!
ぜーんぶ、つけようね~!」
そう言うと、あっという間に三つつけてしまった。

「はぁ…可愛い……
しかも、お揃い…/////幸せ…」

御影は、またうっとりとして華澄を見つめていた。
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