腕の中で、愛でる
「………悪いと思ってるなら、チューして?」

「え………」

「あ!ちなみに!
頬っぺたは、却下だから!
この可愛い口唇と、俺の口唇をくっつけるの」

「ここで?」
「ここで」

「ここでは…/////」
「可愛い…その困ってる顔……!」

「みぃくん、人のいないとこに行こ?」
「うん、いいよ!」


人気のない、廊下の突き当たり。
「みぃくん、目…瞑って」
「ん!」

御影が目を瞑ったのを確認して、御影のジャケットを軽く握り背伸びをした。
口唇が軽く重なり、離れる。

「フフ…ありがと!」
(ほんとは、吸ったんだけどね!煙草。
つか、可愛すぎだろ!
ヤバい…////ヤりたくなってきた……!)

顔を赤くし、見上げる華澄。
その上目遣いが、御影の理性を刺激する。

「許してくれる?」
「うん!許してあげるー!」
「教室、戻ろ?」
「うん!」


それから授業が終わり、昼休み━━━━━━

「カスミン、何処で食べる~?」
「みぃくんが決めていいよ」

「えー!カスミンの食べたいもんが、俺の食べたいもんなの!
だから、カスミンが決めて」
「今日、暖かいからテラスで食べたい。
サンドイッチとか」

「うん!いいよ!行こ?」


御影達の通う学園は、レストランや軽食店がある。
更にその中にカフェがあり、お洒落なテラスがあるのだ。

テラスのあるカフェに向かうと、満席で待っている生徒もいた。
「満席だね…
やっぱ人気だから、待たなきゃだね…」
残念そうに言う華澄。
ポンポンと頭を撫でた御影は、微笑み言った。

「大丈夫だよ!
誰かにかわってもらおうよ!」
「え?え?」

「みーんな、喜んでかわってくれるよ!」

いやいや……“喜んで”かわるわけがない。
御影が“怖いから”かわってくれるのだ。

「みぃくん!」
「ん?」

「やっぱり!
購買で何か買って、外のベンチで食べたい!
ほ、ほら!二人っきりで!とか?」

「………」
「み、みぃくん?」
(え?嘘!?怒った?)

「もう一回!」
「え?」

「もう一回言ってー!
“二人っきりで”ってやつ」

「ふ、二人っきりで外のベンチで食べたい…」

「可愛いぃーーー!
あーー!どうしよう!
可愛すぎぃーー!
よし!早く行こ!」

心底嬉しそうに、華澄の手を引っ張るのだった。
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