ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
「そうだったんですけど。
 もうともかく、その頃の私はパニックで。

 そこへやってきた青葉さんっぽい青葉さんが追い討ちをかけるように、あんな冷たい態度をとるから」

 いや、だから、大吾だ、それは。

「あなたがここに車で突っ込んできたあと、私と会ったことがあるかと訊いたら、ないと言いました。

 私と会って、『お前は誰だ』と言ったはずなのに。

 だから、記憶がないまま、お母さんに連れてこられて会ったけど。

 なんだかわからない妙な女に会ってしまった、と思って記憶から消去したのかと思ってました」

 俺、どんなろくでなしだよ……。

「まあ、ほんとうに短い間でしたからね、青葉さんといたの。
 その短い期間で、私は妊娠してしまいましたが」
とあかりはそう遠くもない過去を振り返る。
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