ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
「短い期間、か。
 じゃあ、日向のことさえなければ、俺のことなんて忘れていたのか?」

 不安になって、青葉はそう訊いてみる。

「いや、それはないと思いますけど」

 あかり、と身を乗り出し、真剣に謝罪しようと思ったその瞬間、逃げ腰に身を引いたあかりが言った。

「あなたと私の青葉さんは違います」

 まだ死んでんのか、お前の中の俺……。

「私の青葉さんは、あなたに連れ去られました。
 私のことをなんにも知らないあなたに――」

「……あかり」

 そのとき、後ろから日向の声がした。

「そうだ。
 これ、よめるようになったよっ」

 日向が走ってカウンターの中に入るのを二人の祖母は目を細めて見ている。
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