ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 嬉しいと思いながらも、心は半分死んでいた。

 あの一週間しかこの世にいなかった青葉を深く愛していたから。

 頑張って忘れようとしたせいで、まだ死んでいた。

 突然、やっぱり生きてましたとか言われても困るしな。

 まあ、この人がこれからどうしたいのかわからないけど。

 日向のことを考えて、義務感から私といたいとかは思わないで欲しいな、と思う。

「あ、そうだ。
 お金払いますよ」

 結局、青葉が全員の食事代を払っていた。

 幾夫の弁当まで。

「いや、いい」

「でも、私がみんなで食べようって言ったんですから」
とあかりはコンパクトな革財布を開ける。

「あ」
「どうした」

「……今、財布からコバエが出てきました」

「……どうやって入ったんだ」
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