ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 ……だが、考えてみれば、一度は、あかりと恋仲だったわけだし。

 そのことは嬉しくもある。

 この先も可能性がないでもないでもないかも……と思いながら、明るい表情で説明しながら、封書を渡してくる来斗を見上げる。

 なにか言おうかと思ったが。

 そういや、こいつは、なんにも知らないんだったな、と気がついた。

 なんかウキウキしてる奴を一緒に悩ませることもあるまい。

 来斗にとっては、自分は上司で。

 大吾は義理の兄になるかもしれない男だから、間に入っていろいろと困るだろうからな、と思う。

 そのとき、呪われた大吾から電話がかかってきた。

「すまない。
 今、電波の通じない(ほら)の中にいた」

 何処にいるんだ、お前は……。
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