ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 ……少なくとも、過去を告白したとき、俺に向けたような。

 死んだ魚のような目を、大吾には向けていないと思う。

「社長、どうかされましたか?」

 大吾からの電話を切ると、来斗が心配そうに訊いてくる。

「いや、なんでもない」

 青葉は話題をそらすように来斗に言った。

「そうだ、昨日、日向に会ったぞ」

 そうですか、と言う来斗はニコニコしている。

 日向が可愛くて仕方ない、という感じだった。

 今までだったら、ここで、
「日向、可愛いな」
と言っていたところだが。

 我が子だと分かった以上、それを言うのは、ただの親バカだ。

「……日向はなかなか面白いな」
という言い方を青葉はした。
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