ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 


 ともかく、俺はあかりの喜ぶ顔が見たくて、今度、堀様とあかりを会わせることにした。

 その話をたまたま電話で話していた大吾に言うと、

「なにが心が広い。
 ほんとうに心が広いのなら、そんな訳のわからん俳優じゃなくて、俺のところまで、あかりを連れて来い」
と言う。

 いや、心が狭くて、カイロまで連れてかないわけじゃないんだが。

 というか、大吾は相変わらず、あかりにご執心だが、あかりは大吾には全然興味がなく。

「よく日向と遊んでくれるいい人」
としか認識していないので、別に会わせても構わないのだが――。

 籍は入れたが、慌ただしくて。

 まだ式もしていないし、新婚旅行にも行ってないから、カイロまで行ってもいいんだが。

 新婚旅行なら――

「……やっぱ、フィンランドだろ」
と呟き、電話を切った。

 切り際、
「なにがフィンラン……ッ」
とちょっと大吾の声が聞こえた。



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