ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
「いや、たまにはゆっくりしろ。
 出産の準備で忙しいだろうし」

「カンナが店見て歩くの付き合うだけなんですけどね」
と来斗は笑い、あかりに焼きそばを勧められていたが、もう食べてきたからと断っていた。

 カウンターに左から、運転手さん、青葉さんと日向、私、カンナさん、来斗、の順で並んで座る。

 カンナさんが真横だと緊張する……。

 普通、嫁が姑に緊張するのではないかと思うが。

 うちの場合、私がしていた。

 いや、カンナさんも緊張しているのかもしれないが、いつも無表情なのでよくわからない。
 
 すると、あかりがその話をはじめた。

「来斗がさ。
 カンナさんの表情が変わらなくても、カンナさんが怒ってるとか、笑ってるとかわかるって言うんだけど」

 すると、カンナさんは表情を変えずに言う。

「怒ってなくても笑ってなくても。
 来斗さんがそうだと言うのなら、私は、それを正解とします」

「……来斗、当たってないんじゃないの? あんたの読み」

 あかりの言葉に、ええっ? と来斗が声を上げ、みんなが笑う。

 カンナさんも笑ったように見えた。

 口の端がほんのちょっぴり。
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