プリズムアイ
「その後輩はカマキリみたいだね」

「カマキリ?」

彼はつまらなそうにニュースを見ている。連日賑わせている連続猟奇殺人事件が特集を組まれていてわざとらしく騒いでいた。そのあとの明日の天気の方が私にとっては大事なことだが。

「喧嘩慣れしているところと、オスを食っているところが」

いや、まだ食っていないのかとひとりごちた。

「カマキリ自体凄く凶暴なんだよね。だけどメスの方がからだも大きいしより、産卵できるからよりそうだし。オスも交尾して子孫残さないといけないから命がけでセックスしかけるわけ」

周りの男はちらちら彼女を好きかどうかはおいておいてわかりやすく性的な目で見ている。それを女性陣みんながわかっている。今の職場が異常なことが分かり切っていた。そして次々と女性は退職していく。

彼女だけがその環境に違和感を持たず、最初のころと同じように仕事をしている。
私に嫌がらせをしているという点を除いて。
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