プリズムアイ

5

***

視界がどんどん赤くなる。美人になるためになんでもした。
しゃくれている顎を整えるために激痛を耐えたこと、そのために小汚いおっさんの尻をなめたこと。だって人間扱いしてくれないんだもん。ブスは人権がない世の中に生まれたんだからそうじゃない。若いときにブスのままだったら致命的でやりたいこと、自分の努力で実を結んでもまともな評価を与えられない。そんなとき、この石と出会った。同じ石の輝きが私の眼の中に写りこんだ時、これほどまでに自分の目に魅了されたか。

そしてわたしのことをなんにもしらない他者でさえ魅了されるのだ。

水島なんていい例である。

男にちやほやされて気持ちがいい、今まで得られなかった肯定を他人が勝手にふりまいてくれるのだ。私は気持ちいいことを他者から与えられてずっと暮らしたい。

今日は水島にご褒美を与えてやる日なのだ。社内テストの回答を盗んで答案を横流ししてくれた。彼なりに頑張ったらしい、私は頼んではいないがとりあえず水島の責任になるのなら褒めておいたほうが得策だろう。
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