プリズムアイ


涙がボロボロ流れながら、これ以上ないくらい呼吸ができなくなるまで身体で体重をかけた。絶命の寸前、彼は涙を流した。そしてかすれた声で言う。



「化け物」



でも何の情もわかない。うめき声と手の力がなくなり、重力に任せるように反抗していた腕は垂れていた。

好きでもない男にプライド傷つけられたから殺した。踏みにじられたような気がした。

彼のポケットが震えていた。スマホの表示は美司さんだった。

黙って出た。



<助けて、彼氏に襲われて…!!水島の傍にいたいの!!あ、彼氏もね!!あの子と同じ目をしていたの!!やっぱりおかしいんじゃないかな!!ね、はやく家まで来て!!>



先輩の美司さんはかなり錯乱していた。実際今事件が起きた口ぶりだった。
その様子でこちらは冷静になれたような気がした。いっそう、笑いたいくらいに。
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