プリズムアイ
end
テレビ特番
「10年前のUMA襲来連続殺人事件を被害者が語る」
被害者Aさんは当時付き合ってた彼氏と、また自分の同僚二人を亡くされています。彼氏は突然目が輝きだし、Aさんを襲ったときに背中から化け物が出たということなんですが。実際は………。
ーーーーおっしゃるとおりで。温厚な彼があんな暴力的にわたしを襲うなんてしないんです。普通。でもわたしを襲い、背中から化け物が現れて。あとからあれは化け物のせいだったと思いました。じゃないと説明がつかなくて。
当時の写真などでしか見たことはなかったのですが、2メートルくらいの乳白色のような色をしている物体でしたね。しかも宝石のようなまばゆい光を放ってる。
ーーーーそうです。瞳の色と一緒でした。カマキリのようなだった。彼氏の家に石があったんです。それが媒介になってるんじゃないかと思いました。
被害者Aとは顔出しをせず、対話をした。
カーテンで仕切っているような感じだった。
自分の姿、好きじゃないのでと常に俯いていた非常識なやつとスタッフからきいたが、きっちり受け答えができるので極度の人見知りかと思った。
一旦CMです
と流れて私は改めてカーテンを横に引いた。
「おつかれさま、で…………」
彼女はひきつった顔に恐怖を馴染ませて、今話を聞いた乳白色のプリズムの瞳を携えてこちらを見ていた。
彼女はヒステリックに叫びだした。
「いや、みないで、みないで、みないでぇぇ!!!」
彼女は立ち上がって、顔を両手で覆う。
まわりにいたスタッフも、自分もその瞳の美しさに囚われた。
時が止まったように動かなくなった私たちに、無情にも関節が外れるような音が聞こえた。
「ああああ、あああ!!」
孵化するように、背中が裂け鮮血が飛び散る。
その地渋きがわたしにかかろうとも、その美しき化け物の孵化を瞬きせずに目に焼き付けた。