もう一度わたしと、恋をしてください。


正門まで戻ると、和田くんは駐輪場の方に荷物を移動してちゃんと待っていてくれた。自転車にまたがっていて今にも帰りそうな感じだけど。

あれだけ文句を言っていたし、もしかしたら本当に帰っているかもと思ったけど、待っていてくれた。さすがに失礼だったかな。


和田くんはわたしたちを見ると不機嫌そうな顔で荷物を指さす


「荷物、そこ」

「ありがとう、和田」

「あ、ありがとうございました」


やっぱりちょっと怖い。

星野くんがお礼を言ったのに便乗してわたしもお礼を言ってみたけど、聞こえてないの?と疑うほど無視。

あ、わたしこの人苦手かも。


一瞬で確信した。


「怪我、大丈夫?」


ぶっきらぼうに言い捨てられた言葉が、わたしに向けられたものだと気づくのに時間がかかったのは、その声音がとても心配している人のものじゃなかったから。

そういえば、ここに来るまでに聞いたけど、星野くんの話によると、和田くんの腕がわたしにぶつかってわたしが転んでしまったのだとか。

でも当の本人はちっとも悪いと思っていなさそう。

別に、いいんだけど、たいした怪我じゃないし。


「大丈夫です」

「あっそ」


短い返事の後、和田くんは別れの言葉もなしにそのまま帰ってしまった。

は? か、感じ悪ッ……


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