もう一度わたしと、恋をしてください。
わたし自身も気がついていなかったけど、一応あなたのせいで怪我をしたんですけど
文句を言おうにも、和田くんの姿はもう見えない。
この場にいたところで文句を言えたかどうかは、ちょっと自信ないけど。なんかあの人怖いし
モヤモヤした気持ちを振り払うようにふぅっと息をつく。
「長沼さん、ごめんね。和田ってそんなに悪いやつではないんだけど、ちょっとクセあって」
なぜか星野くんが謝る。
“ちょっと”…? “かなり”の間違いでは?と思ったけど、星野くんから謝罪される謂れはないのでブンブンと首と両手を横に振って「気にしてないから大丈夫!」と笑った。
「長沼さんって何部だっけ」
「あ、吹奏楽」
「そーだ、確か体育大会のとき演奏してたよね」
「えっ!知ってたの?!」
体育大会でお昼休憩のときに、吹奏楽部はマーチング演奏をした。
私の担当楽器はトロンボーンで、昨年はコンクールの補欠メンバーにも選ばれたし結構自信ある。
わりと目立ったみたいでクラスメートからは「かっこよかったよ」と称賛の声をもらったくらいだ。
でもまさか星野くんも私のこと見てたなんて、ちょっと恥ずかしいな