もう一度わたしと、恋をしてください。
「吹奏楽ってこんなに遅くまで練習するの?俺らと時間被るの珍しくない?」
「クリスマスに商店街のイベントで演奏があって」
「へえ! 駅前のだよね?俺妹と見に行こうかな」
「え?!や、やめて……」
「ははっ、イヤか」
星野くんって、すごく優しく笑う人だなあ。
というか、妹いるんだ。面倒見よさそうだし、優しいしなんか納得。
家に着くまでの道、星野くんとはたくさん話をした。
部活の先輩が苦手だとか、どの教科が苦手だとか。
星野くんは小学校の頃から野球をやっていて、4つ下の妹がいて、勉強が苦手な男の子。
今日だけで、少しは星野くんのことを知れた気がする。
徒歩で20分の距離。いつもはだるいなあなんて思いながら歩く帰り道なのに、今日はあっという間に着いてしまった
お母さんとお父さんはまだ家に帰っていなくて、星野くんは家の人に説明するよって言ってくれてたけど、原因が星野くんってわけでもあるまいし、そこまでしてもらうのは申し訳なくて帰ってもらった。
まだ、ドキドキしてる。
星野くんが帰ってからもう10分経つのに、心臓の鼓動は早いまま。
しばらくしてから両親が帰ってきて、今日のことを話すと、夕飯はデリバリーにしてゆっくり家で過ごすことになった。
少し残念だったけど、でもがっかりした気持ちが少ないのはきっと星野くんのおかげだ。