もう一度わたしと、恋をしてください。
長沼橙子と書かれたノートをパタンと閉じてわたしに返しながら海は意地悪に笑って言う
「そーだよな、お前のノート写しても…な、よく考えたら橙子より俺の方が成績いいし。前言撤回な、減るもんじゃないって言って悪かった、俺の成績表の“5”の数が減るよな?悪い悪い」
元気出せよ、なんて、ぽんぽんと肩を叩かれる。
こ、こいつ…!
むかつく!!本当のことだから余計に!!言い返せない自分に一番ムカつく!!
「あー、橙子この前の小テスト4点だったもんね」
「景ちゃん、さらっとバラさないで?」
「え、ガチ? それは同情するわ、試験でも同じ点取らないように頑張ろうぜ?」
どんまい、とまた肩をポンっと叩かれて、さすがのわたしも海のつま先を思い切り踏んづけてやった。
海が痛みに悶えて怯んでいる隙にノートを奪い取って自分の席に着くと、苦笑を浮かべる海に向かってあっかんべーと舌を出した。
「あんたら、子どもじゃないんだから…」
景ちゃんが呆れてたけど、海のほうが絶対に悪い!