もう一度わたしと、恋をしてください。
他の部活の生徒が避けて裏門に向かっていたり、正門を通ろうとする勇気ある人たちも、野球部員のいない隅のわずかな隙間を縫ってコソコソと学校から出ていく。
その様子を見て、また深くため息をついた。
最悪。
今日は用事があるから急いでるのに。
吹奏楽部に所属しているわたしは野球部と帰りがかぶることなんて滅多にないんだけど、来月のクリスマスに地域の商店街で演奏会があるため、練習が長引いてしまった。
帰りが同じ時間帯になってしまっても、普段なら迷うことなく裏門に向かうけど、今日はそんな時間なんてない。
久しぶりにお父さんが出張から帰ってきてるのに。
お父さんは大手企業に勤めていて、長期の出張や転勤絶えない。
昔は、転勤の際にはお父さんに合わせて引っ越しをしていたけど、わたしが小学校に上がるタイミングで一つの地域に留まった方がいいってマイホームを購入。
お父さんは単身で出張や単身赴任することになった。
それからは、大手企業だけあって相当忙しいみたいで、年によって違ったりするけど、一年に数回家に帰ってくる程度。