もう一度わたしと、恋をしてください。
今日は三ヶ月ぶりに帰って来れそうだからみんなで外食へ行こうって言われてたのに。
部活が長引いたうえに、こんなことになってしまうなんて。
約束の時間までもう30分もない。
普段会えないぶん、話したいことがたくさんあるのに。
今日が金曜日で、日曜の夕方には向こうへ戻ってしまう。そしたら次帰ってくるのは年末年始か、もっと先かもしれない。
もう一度、鞄のベルトをぎゅっと握り締めて、正門の方へ向き直る。
右手の方は二年生がかたまってるけど、左手の方は二年生に絡まれてる一年生ばかりだ。同級生だし、一年生はまだ真面目な人が多いし、あっち側を通れば恐怖は少なそう。
よ、よーし…
深く深呼吸をして、なるべく目立たないように他の生徒に混じって正門へと歩みを進める。
あの集団の横を通るときだけ小走りで行けばきっと大丈夫。
歩きながら頭の中で何度もシミュレーションして、よし!と決心しながら、端っこを走り抜けようとしたときだった。