遠距離恋愛は人をダメにする。
次の日の金曜日夜。

桃香ちゃんからLINEがくる。

ま、金曜日は次の日が休みなので、よくLINEする日ではあるが…

「晴良ちゃんは明日部活ある?」

うん?どこかで同じ質問をされた。
あ、昨日、ママに聞かれた質問だ。

「ううん。無いよ」

「そうなんだぁ。明日の予定は?」

「明日はなんも予定無し」

「そうなの?」

「うん。桃香ちゃんは?」

「私は部活」

「そうなんだ。優くんとデートじゃないの?」

「えっ?優くん?」

「うん。優くんも部活なの?」

「えっ?部活?」

「あれ?」

「あれ?」

なんか、微妙に話が噛み合ってないような。

「そういえば、優くんって部活何?」

「優くんはソフトテニスだよ」

「へぇ。そうなんだ。どうせ、運動神経いいんでしょ」

「うん。めちゃいいらしい。1年生で団体のメンバーらしい」

「そうなんだ。よく知らないけど。ソフトテニスって団体なんだ」

「なんか、団体戦と個人戦ってのがあるらしいよ」

「そうなの?」

「うん。個人戦は何ペアか試合に出られるらしいけど、団体戦は全学年で3ペアしか出られないから1年生で出られるのって珍しいらしい」

「へぇ。そうなんだ。じゃあ、優くんも明日は部活あるんじゃない?」

「ううん。今日、明日の部活は行けないって言ってた」

「そうなんだ。じゃあ、桃香ちゃん。会うのは明後日の日曜日なの?」

「ううん。今週は会わないよ」

「そうなんだ。残念だね」

「なんか、家族でお出かけするみたい」

「あ、そうなんだ。旅行かなんかかなぁ」

「うん。優くん、そう言ってた」

「そうなんだ。いいね。旅行」

「うん。私も旅行行きたい」

「あ、そっちって、舞浜とか近いからいいよね。いつでも夢の国行けるから」

「そんなこと言ったら、晴良ちゃんはユニバ近いじゃん」

「いやいや、大阪遠いし」

「あ、確かに…」

「あ、ピューロが近いよね。昔、行った覚えがある。めちゃ小さい頃」

「確かに近いわ。多摩センターだからね」

「多摩動物公園とか」

「はははっ、それは、もう幼稚園の遠足レベルじゃん」

「うん。うん。そうだね。私も保育園の遠足で行ったよ」

「あれ?晴良ちゃん。そっちって小学校の修学旅行ってどこ行くの?」

「うん?京都、奈良だよ」

「えええっ、それって、うちら中学校の修学旅行だよぉ」

「それじゃあ、小学校の修学旅行は?」

「日光だよ」

「日光?それどこ?」

「日光は日光。東照宮のある」

「東照宮?何それ?」

「栃木県だよ」

「わかんない」

「わかんないかぁ。じゃあ、中学校の修学旅行はどこに行くの?」

「東京」

「えっ、そうなの?東京のどこ。浅草とかスカイツリーとか?」

「うん。確か、そのへん。夢の国も行くらしい」

「ええっ、修学旅行で夢の国かぁ。いいね」

「そういえば、桃香ちゃんは優くんと夢の国行ったことあるの?」

「うん。前の夏休みに行った」

「いいね。憧れるわぁ。好きな子とふたりきりで夢の国って」

「そっちって、デートと言えばどこ行くの?」

「名古屋かなぁ。あ、ナガシマスパーランドとか」

「ナガシマ?」

「うん。いろんなジェットコースターがあるところ」

「あ、こっちで言うと富士急ハイランドみたいなところかなぁ」

「そう。そう」

「あ、そういえば、なんだっけ。あ、前、晴良ちゃんに会った時も言ったけど、おばちゃんの家が愛知の犬山にあるって言ったじゃん」

「うん。覚えてるよ」

「大体、パパの車で高速で行くんだけど」

「うん」

「なんだっけ。高速を犬山で下りて、すぐ近くにある…」

「犬山かぁ、モンキーパーク?」

「猿?」

「犬山にある遊園地みたいな…」

「ああっ、あるね。おばちゃんに連れていってもらったことあると思う。じゃなくて、ほら、平成じゃなくて、昭和じゃなくて…」

「もしかして、明治村?」

「あ、そうそう。明治村、明治村。明治村ではデートしないの?」

「明治村は無いなぁ。あそこは小6の遠足で行くところ」

「ははっ、そうなんだ。犬山っていいよね。春の祭りとか花火とか」

「あ、犬山の花火ね。今年の夏は10分ぐらいを数日間やったんだよ」

「えっ、どういうこと?お盆の頃に3時間ぐらいじゃなくて?」

「うん。人混み対策だって」

「そういうことね」

「うちらのクラスの子達も部活終わってから犬山の花火行ってよ」

「晴良ちゃんは行ってないの?」

「行く相手がいませんから」

「ははっ、晴良ちゃんと犬山の祭りとか花火とか一緒に行きたいよ」

「うん。行こうよ」

「私も早くそっちに行きたいなぁ」

そういうLINEを0時頃まで…していた。

明日が休みだから出来ることだ。

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