遠距離恋愛は人をダメにする。
土曜日の朝。

今日は…休みだというのに、周りがドタバタしている。

時計を見る。
まだ、7時を回ったところだ。

普段の土曜日なら、まだ静かな朝だ。
せいぜい、お兄ちゃんが部活に行くからって、部屋を出る音、階段の音がして、また静寂が戻るはずなのに。

ま、私は…それに臆することなく寝ますけど。

二度寝は気持ちがいい。

私は再び寝た。

そして、再び、起きたのは…パパの車が駐車場から出た音だった。

うん?
パパ、出かけたのかな?

私は時計を見た。
11時が過ぎていた。

さすがにそろそろ起きないと。

休みの日は、起きることに寛大なママでも“そろそろ起きなさい”と言ってくるはず。

私はパジャマのまま、リビングに向かう。

「おはよ。晴良。今からママのお友達が来るから着替えるか、自分の部屋にいるか、どっちかにしてちょうだい」

「うん。わかったぁ」
私は気の無い返事をした。

すると、さっき車で出かけたパパの車が戻ってきた。

「あ、いらっしゃったわ」

パジャマ姿の私は…慌てて自分の部屋に戻った。

あ、そういうことかぁ。
ママのお友達をパパが駅まで迎えに行ってたんだね。

私は…とりあえず…再び…布団の中に入った。
ママのお友達が来たなら、再び寝ても起こしに来ることは無いだろう。

ベッドで横になって…布団を被って…スマホを見ていた。
ま、それで気がついたら寝てた…それでいいと思った。

かすかに聞こえる女性の声。
きっと、ママとママのお友達が大声でお話してるのだろう。

うとうと。

すると、ドアが開き…
「今からママたち、コメダでお茶してくるから」

「ううーん。わかったぁ」
半分寝ながら、返事をした。

「~も来てるから」
なんか、ママが言ったみたいだけど、こちらはもう眠くて眠くて…

「いってらっしゃい」

うとうと、くぅ…

「あとは…」
もうママの言葉は聞き取れなかった。

再び、パパの車が駐車場から出ていった。

静寂の朝?
もう昼か…

私は寝始めた。

すると、ママも…ママのお友達も…そしてパパも…出かけたはずなのに…

私の部屋のドアが開く。

あれ?
お兄ちゃん?

お兄ちゃん。
もう部活から帰ってきたのかな?

隣のお兄ちゃんの部屋のドアが開いた?

いやいや、この音は…私の部屋のドアだよね。

私は…布団の中で…目を閉じたまま…少し考えた。

「晴良、まだ寝てるのかよぉ」

は?
誰?

私は…慌てて…目を開け…身体を反転させる。

すると、ドアの前に…

優くんが…

「はぁぁぁぁ。なんで?なんで?」
完全に動転してしまった私。

「聞いてなかったのかよぉ」

「はぁ?何が」

「晴良のお母さんから」

「聞いてないしっ。そんなの。って、勝手に部屋に入ってこんとおいてっ」

「あ、ごめん。ごめん。まさか寝てるとは思わなかったから。晴良のお母さんが、晴良なら部屋にいるよって言ってたから」

「いや、寝てなくても…だし」

「ははっ」

「女子の部屋に入るって…もう」

「リビングで待ってるから。着替えておいで。東京ばなな…あるから」

「はぁ、私の家なんですけどぉ」

「じゃあ、待ってるね」
優くんは、私の部屋から出ていった。

それは、ムカつくほど爽やかに…
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