遠距離恋愛は人をダメにする。
「ええっ、あの彰くんが?」
「そう。ナンパみたいに」
「うん。なんかチャラいわぁ」
「ふふっ、そうそう」
でも、菜々は嬉しそうな顔をしている。
ま、これがきっかけで、こうやって今付き合ってるんだから、それはいいことだよね。
「あ、あそこ」
菜々が指差す先には、喫茶店の外に併設されたちっちゃいお店。
「晴良、何食べる?」
メニューを見ると、いろんな種類の揚げパンがある。
昭和スタイルのコッペパンを揚げて、シュガーをまぶしたやつや、シナモン、抹茶、きな粉。
また、フランス風の揚げパンのベニエやハワイアン風のマラサダまである。
ベニエはタマゴやツナみたいなもある。
やばいなぁ。
迷う。
「じゃあ、私は普通のシナモンの揚げパンで」
菜々は決めるのが早かった。
ま、最初からこのお店に行きたかったんだからある程度決めていたんだろう。
「じゃあ、私はホイップマラサダで」
「うん。いいねぇ」
何がいいのかわからないが、菜々はそう呟く。
菜々は店員さんに注文して、商品を手にする。
「なんか飲み物欲しいよね」
「確かに」
「あそこにコンビニあるから、あそこで買おうっ」
「うん」
確かに揚げパンを飲み物無しで食べるのは辛い。
私はホイップマラサダだから、まだマシだけど、菜々はシナモンの揚げパンだから、この炎天下の中で食べると喉の水分が無くなるだろう。
コンビニで飲み物を買う。
私は甘い食べ物だから、ストレートティーを、菜々は炭酸系を買った。
それらを手にして、近くの公園で食べる。
「あの滑り台で食べる?」
「それって」
2人とも爆笑。
「私まで踏み潰すつもり?」
そう言って、木陰のベンチに座る。
「うううん。美味しい」
早速、菜々は揚げパンにかぶりつく。
念願の揚げパン。
私もホイップマラサダを食べる。
「おおっ」
「何、それ?」
「見て、見て、中にホイップいっぱい」
「本当だぁ」
ふたりは、至福の笑顔。
「菜々、ちょっとちょうだい?」
「うん。いいよ。はい。あーんして」
「いやいや、自分で食べるし」
「いいから、あーんして」
「もうっ」
私は仕方なく目を閉じ、口を開ける。
うん?
いっこうに口に揚げパンが入ってこない。
ちらっと目を開けると
「晴良。なぜ、目を閉じる?」
真顔で菜々に言われる。
あれ?
あれ?
「普通、目を閉じない?」
「キスじゃないんだから、目を閉じないでしょ」
菜々が急にそんなこというから、自分でもわかるくらい顔が赤くなる。
「あ、もう」
照れている自分を隠すため、慌てて菜々が手にする揚げパンを口にする。
もぐもぐ
「シナモンもいいね」
「じゃあ、私もちょうだい」
「うん。あーんして」
私も菜々を真似てそう言う。
すると、菜々は少し笑って、目を閉じて口を開ける。
うっ、菜々も私を真似たんだぁ。
してやられた感満載で、ちょっとムカついたから
「はい」
「うわっ、晴良っ」
「はははっ」
私はホイップマラサダを口に入れずに、菜々の鼻に押し当てた。
わざとホイップが菜々の鼻に付くように。
真夏の昼下がりの公園の木陰のベンチ
中学生女子の笑い声が蝉の鳴き声を打ち消す。
「そう。ナンパみたいに」
「うん。なんかチャラいわぁ」
「ふふっ、そうそう」
でも、菜々は嬉しそうな顔をしている。
ま、これがきっかけで、こうやって今付き合ってるんだから、それはいいことだよね。
「あ、あそこ」
菜々が指差す先には、喫茶店の外に併設されたちっちゃいお店。
「晴良、何食べる?」
メニューを見ると、いろんな種類の揚げパンがある。
昭和スタイルのコッペパンを揚げて、シュガーをまぶしたやつや、シナモン、抹茶、きな粉。
また、フランス風の揚げパンのベニエやハワイアン風のマラサダまである。
ベニエはタマゴやツナみたいなもある。
やばいなぁ。
迷う。
「じゃあ、私は普通のシナモンの揚げパンで」
菜々は決めるのが早かった。
ま、最初からこのお店に行きたかったんだからある程度決めていたんだろう。
「じゃあ、私はホイップマラサダで」
「うん。いいねぇ」
何がいいのかわからないが、菜々はそう呟く。
菜々は店員さんに注文して、商品を手にする。
「なんか飲み物欲しいよね」
「確かに」
「あそこにコンビニあるから、あそこで買おうっ」
「うん」
確かに揚げパンを飲み物無しで食べるのは辛い。
私はホイップマラサダだから、まだマシだけど、菜々はシナモンの揚げパンだから、この炎天下の中で食べると喉の水分が無くなるだろう。
コンビニで飲み物を買う。
私は甘い食べ物だから、ストレートティーを、菜々は炭酸系を買った。
それらを手にして、近くの公園で食べる。
「あの滑り台で食べる?」
「それって」
2人とも爆笑。
「私まで踏み潰すつもり?」
そう言って、木陰のベンチに座る。
「うううん。美味しい」
早速、菜々は揚げパンにかぶりつく。
念願の揚げパン。
私もホイップマラサダを食べる。
「おおっ」
「何、それ?」
「見て、見て、中にホイップいっぱい」
「本当だぁ」
ふたりは、至福の笑顔。
「菜々、ちょっとちょうだい?」
「うん。いいよ。はい。あーんして」
「いやいや、自分で食べるし」
「いいから、あーんして」
「もうっ」
私は仕方なく目を閉じ、口を開ける。
うん?
いっこうに口に揚げパンが入ってこない。
ちらっと目を開けると
「晴良。なぜ、目を閉じる?」
真顔で菜々に言われる。
あれ?
あれ?
「普通、目を閉じない?」
「キスじゃないんだから、目を閉じないでしょ」
菜々が急にそんなこというから、自分でもわかるくらい顔が赤くなる。
「あ、もう」
照れている自分を隠すため、慌てて菜々が手にする揚げパンを口にする。
もぐもぐ
「シナモンもいいね」
「じゃあ、私もちょうだい」
「うん。あーんして」
私も菜々を真似てそう言う。
すると、菜々は少し笑って、目を閉じて口を開ける。
うっ、菜々も私を真似たんだぁ。
してやられた感満載で、ちょっとムカついたから
「はい」
「うわっ、晴良っ」
「はははっ」
私はホイップマラサダを口に入れずに、菜々の鼻に押し当てた。
わざとホイップが菜々の鼻に付くように。
真夏の昼下がりの公園の木陰のベンチ
中学生女子の笑い声が蝉の鳴き声を打ち消す。