あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
奏弥と聖龍がそんな話をしている中。
隣のオフィスでは。
城原コンサルティング。
宗田ホールディングよりも落ち着いた感じのフロアで、シックな感じが広がている。
自社ビルではないがワンフロア全てを貸しきっている。
社長室にやって来た輝樹は、里菜が逮捕された事を話した。
「そうか。…愛香里は、平和的に終わらせてくれたんだね」
ホッとした表情を浮かべて幸樹が言った。
「もしかしたら、千堂里奈を刺してしまうかもしれないと思った事もありましたが。以外に冷静でしたね」
「もしかして、彼のおかげかな」
窓の外を見ながら幸樹はそっと微笑んだ。
「僕は全ての証拠を警察に提出しました。後は、警察に任せます。そして、愛香里が幸せになれるように僕も協力しようと思っています」
「そうだな。彼がいるから、安心しているけどね」
「僕もそう願っています。きっと、ヒカルも見守っていてくれていると思うので」
幸樹も輝樹もひとまずホッとしていた。
逮捕された里菜は、警察署に着くと素直に取り調べに応じていた。
今まで気に入らない人達を殺してきた事も、殺すまでは至らなくても嫌がらせをしてかなり追い詰めて来た事も素直に認めていた。
全ては何も知らないまま養女として引き取られ先で、実の母緒亜が殺人犯である事をネタに性的虐待をされていた事から始まっている。
それまで施設にいた里菜は、素直でよく笑う明るい子供だったそうだ。