あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「メガネ外した方がいいな…」
寝ているヒカルに手を伸ばして、聖龍はそっとメガネを外した。
メガネを外すと、ヒカルはちょっと幼く見える。
綺麗な顔立ちに、スッと筋の通る鼻、上品な口元…。
ナヨっとした感じはなく、どちらかと言えばキリッとした感じを受ける。
「なんだ…メガネ外した方が、すごい綺麗な顔しているじゃないか」
聖龍はヒカルの素顔に暫く見惚れていた。
暫くすると、ヒカルが目を覚ました。
うるうると目を開けたヒカルは、ぼんやりと見えてくる風景が見慣れない場所である事に気づいた。
どこ? ここは…。
両肘をついて半身を起こして辺りを見渡したヒカル。
「あ、気が付きましたか? 」
傍にいた聖龍が声をかけると、ヒカルは目を凝らして聖龍を見た。
目を凝らしたヒカルは、ナヨっとした感じとは違い鋭い目つきで獲物を狩るような目をしていた。
そんなヒカルを見ると、聖龍はズキンと胸に痛みを感じた。
ぼんやりとした視界に聖龍の姿が見えてくると、ヒカルはハッと我に返った。
「副社長? …ここは…」
「あ、ここは俺の家ですよ」
「え? 」
驚いて目を見開いたヒカル。
ハッキリと見えたヒカルの瞳は、綺麗な赤い瞳をしていた。
赤い瞳を見ると聖龍は見たこともない綺麗ない瞳に、感動して見惚れてしまった。
「す、すみませんでした。すぐに帰ります…」
ベッドから出たヒカルだが、辺りが見えずらく足がもつれてしまいその場に倒れそうになったが、聖龍が抱きとめてくれた。
「大丈夫ですか? もう少し、横になっていた方がいいと思いますよ。まだ顔色悪いですから」
「い、いえ…もう大丈夫ですから…」
はにかんだような笑みを浮かべたヒカル。
そんなヒカルの頬に、聖龍はそっと手を添えた。