あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
立ち止まって見ている社員達はかたずをのんで見ていた。
聖龍は割って入ってきた里菜をはねのけて、ヒカルと腕を組んだ。
そして冷めた目をして里菜を見た。
「悪いけど、それはありえない。さっきも言ったが、俺はゲイだから。男しか愛せない。ここにいる城原さんと、もう親公認で付き合っているんだ。将来は、俺の養子になってもらう約束しているから。千堂さんが入る余地はないから」
なにを言っているの?
里菜は驚きと怒りが込みあがり言葉を失った。
「じゃあ、悪いけど。今後もう、俺と結婚するとか親公認だなんて二度と言わないでもらえるかな? 」
「どうして? 私と副社長は、中学からの同級生じゃない! ずっと想って来たのに、何でよ! 」
「ん? 中学の同級生? そんな昔の事なんて覚えていないから」
「中学だけじゃないわ! 高校だって一緒だったわ! 」
「へぇー。悪いけど、俺の記憶には残ってないから。これ以上、邪魔しないでくれる? じゃあっ」
聖龍はヒカルと腕を組んだまま、里菜の傍を通り越してエレベーター前までいき、ちょうど北エレベーターに乗って行ってしまった。
残された里菜は驚きと怒りと悔しさが込みあがり、茫然と佇んでいた。
見ていた社員達はクスクスと笑いだして、そのままエレベーター前まで歩きだした。
「な…なんなの? …なんで? こんな大勢の前で、私が振られるわけ? 」
(自業自得なんじゃない? )
「はぁ? 」
どこから聞こえてきた声に怒りを露にして、里菜は振り向いた。
しかし誰もいなかった。
(私、忘れていない…アンタに殺された事…)
殺された?
そう聞こえて里菜はゾクっと寒気を感じた。
(いつもアンタの傍で見ている。…一生アンタの傍にいて…苦しめてあげるから…)
寒気を感じた里菜は気を取り直し、エレベーター前まで歩こうとしたが!
「ヒッ! 」
歩き出そうとした里菜の前に、血まみれの女子高生が立っていた。
その女子高生はかなり太っていて、それでいて大柄の女子高生…。
「な…なんなの? …」
驚く里菜を見て、女子高生はニヤッと笑いを浮かべた。