あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「内緒にしておくから、取引条件として飲んでほしい事があるんだけど」
「な、なんでしょうか? 」
ニコっと笑っていた顔を、急に真顔に変えた奏弥…。
「私と…付き合ってくれるかな? 」
「はぁ? 」
「城原さんの事、すごく好みでね。女性だったら、絶対に恋人にしたいって思っていたんだ」
「ちょっと、待って下さい。社長は、ご結婚されていますよね? 」
「ああ、そうだよ。妻も子供いるよ」
「でしたら、そんな付き合うだなんて…」
ん? と、奏弥はヒカルの顔を覗き込んだ。
「結婚していたら、誰かと付き合ってはいけないって誰が決めたんだ? 」
「誰が決めたって、世間ではそうゆうのはいけないと言われるではありませんか」
「うん。世間ではそうだね、でもバレなきゃいいじゃない? 」
「いやいや、そうゆう問題ではありませんから」
ほう?
意味深な含み笑いを浮かべた奏弥。
「そっか、私とは付き合ってくれないんだ。じゃあ、城原さんの秘密を喋ってもいいのかな? 」
「なんなんですか? 脅すつもりですか? 」
「脅すなんて、そんな人聞きの悪い事を言わないでくれるかい? 取引条件を吞んでくれないなら、秘密にしないっていっているだけじゃないか」
「それを、脅しというのです! 自分は…別に女だってことくらい、知られても問題はありませんけど? 」
「そっか…じゃあ、城原さんがあの城原コンサルティングの社長の子供だって事も喋ってもいいのかな? 」
え? そこまで知っているの?
まさか…調べた? …いや、城原と言う苗字から察しただけだと思うけど。