あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

「城原さんが、あの城原コンサルティングの社長の子供だって知られると。なんであんな大手の社長の子供が、我が社に来ているのだろう? って、きっとみんな大騒ぎすると思うけどね。もしかして、我が社の何かを探るためにきているのか? とか、変な詮索されちゃうと…きっと、城原さんが困ると思うんだけど」

 何か嫌なニュアンス。
 私は、不倫する為にここに来たわけじゃないから!

「そんな事までして、自分と付き合いたいのは何故ですか? 」
「決まっているじゃないか、好きになったからだよ」

 本気で言っているの?
 自分の息子も同じ事を言って来ている事、知っている?

「…申し訳ないですが、社長とは付き合えません」
「そっか、仕方ないね。それじゃあ、秘密はなしにするか」

「社長は、自分の子供と競い合う気はあるのですか? 」
「え? 」

「実は…副社長からも、同じことを言われました」
「聖龍が? 」

「今朝、千堂さんが副社長と結婚するとか秘書になるとか言って来たのですが。副社長は「俺はゲイだから」と言って、自分と家族公認で付き合っていると、大勢の社員前で言われました」

 少し驚いた目をして、奏弥はちょっと遠目をした。

「あいつもなかなかやるじゃないか、センスがいい。だけど、私と聖龍は本当の親子ではないから競い合いう相手ではないよ」

 本当の親子ではない? どうゆうこと?
 ヒカルが驚いた目を向けていると、奏弥はちょっと意地悪そうな笑いを浮かべた。

「聖龍は、私の弟の子供なんだ。だから、正確には聖龍と私は親戚で私は父親ではなく叔父になる。でもね、聖龍の父親は聖龍が産まれる前に病気で亡くなってしまったんだ。元々、肺を悪くしていたからもう余命宣告されていたそうだよ。聖龍の母親も、まさかと思った妊娠で。一人で産んで育てていたんだけどね、私は聖龍の母親とは元同僚で。本当は、弟より先に交際していたんだ。でも、訳があって離れていた期間に弟に出会って愛し合ってしまったようだんだ」

 兄弟で同じ人を好きになったってことか…。
 私と似ている…。
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