あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
6人掛けの食卓と椅子が並び、キッチンには大きな冷蔵庫と豊富な調理機器が揃っている。
2人50代くらいのお手伝いがいて、家事は全てやってくれている。
リビングの入り口の扉は綺麗な白い扉で、その扉を開けて夢の国へ入ってゆくような感覚がある。
「あら、いらっしゃい」
奏弥がヒカルを連れて入ってくると、背の高い聖龍に似た雰囲気の女性が出迎えてくれた。
清楚なロイヤルブルーのワンピースに、白いカティガンを羽織って、長い髪は後ろでアップにしている。
「初めまして、宗田凜と申します」
「初めまして…城原ヒカルです…」
「ヒカルさん? とても可愛いのね。何も気兼ねしなくていいから、ゆっくりしてね」
上品な笑いを浮かべて、凜は大きめの紙袋をヒカルに渡してきた。
「これ着替え。良かったら使って、取引先からのもらいものだけど。私にはちょっと似合わないものだから」
「有難うございます」
ヒカルは受け取った紙袋の中を見てみた。
袋の中には下着が数着入っている。
かわいいデザインの下着で、ブランドもののようだ。
ピンク系とブルー系のブラウスと、可愛いフレアスカートも入っていて、ヒカルが着るような服ではないと思った。
「あ、そうだ。お部屋にご案内するわね」
凜がヒカルの手を引いて凜は2階へ上がって行った。
2階には長い廊下が続き、部屋が5部屋ある。
階段から一番奥の洋室へ案内されたヒカル。
部屋に入ると女の子の部屋で、壁紙は綺麗な白でカーテンは可愛いピンク、クローゼットに南向きの窓際に机といすが置いてある。
奥側に寝室が別室で用意してあり、寝室には広めのシングルベットに花側のベッドカバーと枕カバーのベッドが用意されている。
「ここはね、娘の香恋(かれん)が使っていた部屋なの。なかなか捨てることができなくて、ベットカバーなどは新しくしているのだけど。なかなか部屋をなくすことができなくて…。ヒカルちゃんが来てくれて、ちょうど良かったわ。この部屋を、また使ってくれる人ができて」
こんな可愛い部屋なんか使った事がないから、ちょっと落ち着かない気がするけど。
ヒカルはちょっと戸惑っていた。