あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「ヒカルちゃん、私の事はお母さんだと思ってくれていいわよ」
「え? 」
「ヒカルちゃんを見ていると、亡くなった子供が戻って来てくれた気がして嬉しいの」
「でも自分は…」
「この家、嫌い? 」
嫌いって…そうではないけど…。
「奏弥さんがヒカルちゃんを連れて来たのは、きっと運命よ」
運命?
そう言われると、何となくヒカルの胸の奥でキュンと何かがうずいたのを感じた。
「さっ、そろそろお風呂が沸くから入って来て。今夜は遅いから、また明日にでもゆっくり話しましょう」
なんだかすごく歓迎されている…。
娘さんに似ているから?
暫くして。
ヒカルはお風呂に入る事にした。
まるでどこかの温泉のように広くて、浴槽がヒノキで出来ていて、桶も日檜を使ている。
床は大理石でできていて、天井に窓があり星が見えるようになっている。
「すごいお風呂…これだと、温泉に行かなくても満足できそう…」
ふと奥を見ると、サウナまで設置してるのが目に入った。
「世の中には、お金持ちって沢山いるのかもしれないなぁ…」
体を洗いながらヒカルは広々としたお風呂をキョロキョロと見ていた。
なし崩しのように宗田家にやって来たヒカル。
その晩はフカフカのベッドでぐっすりと眠った。