あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
性行為が終わった後。
吉幸がぐっすり眠ったのを確認した里菜は、注射器を持ってきて吉幸の首に注射した。
それは吉幸の病院から里菜が持ち出してきた劇薬だった。
口から泡を吹いて死んだ吉幸を見て、里菜はやっと解放されると思った。
死んでいる吉幸に注射器を握らせ、自殺したように見せかけ何も知らないふりをした里菜。
翌朝見つけた千秋が驚いて警察に通報した。
状況から自殺だと断定され、その事がきっかけで吉幸が手当たり次第に病院の看護師達に手を付けていた事が判明した。
(私は種無しだから。子供ができる心配はない)
そう言って避妊しないで性行為を続けていた吉幸。
相当な自分へのコンプレックスが強かったのではないかと、周りは証言していた。
党首を亡くした千堂家は今までの生活が変わり、働いたことがない千秋は吉幸が残した資産でやりくりをしていたが金使いが荒く何億とあった資産もそこを尽きるほどになっていった。
里菜が高校2年生の時。
資産を使い果たした千秋は、生活スタイルを変える事もなく派手な生活を続けていた。
そんなある日。
千秋は複数の男達を家に連れてきた。
「里菜、この男達の相手をしなさい」
千秋はまるで蛇のような目をして、汗まみれでいかにも女を欲しがりそうな男達を里菜の前に連れ来た。
「この男達、一人20万払ってくれているの。3人相手をすれば、一晩で60万は手に入るの。いい話でしょう? 3人の男と、あんたがセックスすれば60万の大金が一晩で手に入るのだから。あんたは、この家にもらわれてきた。だからこの家を守る義務があるの。こんな楽な稼ぎ方はないわ。男なんて、みんな若い女が好きなんだから」
そう言って千秋は毎晩のように複数の男を連れて来て、里菜に相手をさせた。
時には5人の男を連れて来て、一人30万支払われ150万以上稼がせたり、里菜が学校が休みの日は20人ほどの男を連れて来て相手をさせられる時もあった。
里菜は泣きたい気持ちもあったが、繰り返される性行為で泣く事も忘れ笑う事も忘れて行った。
これでは風俗と同じ。
里菜が月のモノが来ているときは、男にひたすらご奉仕する日々。
またあの時のような、おもちゃにされている…みんな男なんて、あいつと同じ。
そう思って過ごしていた日々だった。
しかし里菜の唯一の救いは、学校に行かせてもらえる事と学校に行けば聖龍に会える事だった。
中学生の頃からずっと好きな聖龍に一目でも会えることで喜びを感じ、この楽しみの為に生きていたいと思えるほどだった。