あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 そして家に帰ると、待ち構えていた千秋がまた複数の男を連れてきているのを見て怒りが込みあがって来て里菜は吉幸が使っていた部屋からメスを持ち出してきて男達を部屋に招き入れてた瞬間に首を切って刺殺した。

 男達を刺殺した後、里菜は千秋の元へ向かった。

 白い下着姿で現れた里菜は、刺殺した男達の返り血を浴びていた。
 その姿を見た千秋は恐怖に引きつった顔を浮かべ、逃げたくても腰が抜けてしまい動けなくなった。

「みんな死ねばいい…」

 そう呟いた里菜に、千秋は恐怖に引きつった顔をしながら言った。

「里菜…。ごめんね、お金お稼ぐ為にはこうするしかなかったの。私が体を売っても、買ってくれる人なんていないから…」

 そう言いながら震える手で引き出しから通帳を取り出した千秋。

「この通帳には、今まで里菜が相手をして男が払ったお金が貯金してあるわ。里菜の名義だから、好きに使って良いのよ」

 通帳を開いて見せられた預金の額は、1億を超えていた。

 こんなに私の体を使って稼がせていた?
 それだけじゃないと思うけど…。

 少しだけ殺意が薄れたような里菜だったが、込みあがる怒りは抑えることが出来なかった。

 恐怖に怯える千秋に、血まみれのメスを持ったまま迫って行き、傍に行くと人ひと思いでグサッと千秋の胸を刺した里菜。

「…里菜…。私の子供になってくれて、有難うね…。ずっと、子供が欲しかった…産まれて来た子供を幸せにしてあげたかったけど…あの人との子供を産む事はできなかった…。里菜が来てくれて、私は母親になることができたの。…母親になれて…嬉しかった…」
 
 薄れゆく意識の中、千秋はギュッと里菜を抱きしめた。
 抱きしめられた里菜は初めて感じた温もりに少しだけ躊躇した表情を浮かべた。

「里菜…。幸せになってね…。私は幸せになれなかったけど…里菜は世界一の幸せになってね…」
 
 それだけ言い残し千秋は息絶えた。

 息絶えた千秋を見て、里菜は狂ったように笑い出した。


 そのまま上着を羽織って里菜は家を飛び出した。

 そしてヒカルの家に向かった。

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