あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 夜になるとヒカルはすこしでも痩せようと散歩をしていた。
 その散歩コースを里菜は知っていた。

 いつものように散歩に来たヒカルを待ち伏せしていた里菜は、ニヤッと笑ってヒカルの前に現れると。
「よくも、私の聖龍さんに近づいてくれたわね! 死ね! 」

 驚くヒカルの首をひと思いで切りつけた!

 その場に倒れたヒカルの血が広がるのを見た里菜は、また狂ったように笑い出した。

「じゃま者はみんな死ねばいい。生きているだけ邪魔よ! 」

 笑いながら立ち去った里菜…。


 
 その後家に戻った里菜は、刺殺した男達と千秋の遺体をどう処分しようか考えていた。
 
 考えた末、屋敷ごと焼き尽くしてやろうと決めて灯油をまき散らして屋敷に火を放った。


 燃え盛る屋敷を見ながら里菜は狂ったように笑っていた。
 
 だがその姿を目撃していた人が警察に通報して、里菜はそのまま逮捕された。


 逮捕された里菜は未成年である事から、少年院に送られる事になったが、精神状態が異常である事から病院送りになる話も出ていた。

 裁判が行われる事で、里菜に担当弁護士がついた。
 国選弁護人である神原颯太だった。
 颯太は多くの非行に走って罪を犯した青少年少女を弁護してきた実績があり、心が病んでいる人にも寄り添う事が上手く、里菜も初めて優しさに触れたような気がしていた。
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