あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
ヒカルと愛香里
2週間後。
あれから暫く宗田ホールディングは警察の調査が入ったり、聞き込みが入ったりとバタバタしていたが今は落ち着きを取り戻し平穏な日々に戻っていた。
里菜は1週間程自宅待機になり出勤停止になっていたが、今は復帰している。
復帰してからは大人しく仕事をしていて里菜。
このまま平和になってくれればいいと、願われる日々だった。
城原家を離れたヒカルは、宗田家にいたが物件を見つけて早く出て行かなくてはと色々探していたが、契約するには保証人が必要で保証会社に依頼する事も試みたが、踏み出そうとすると奏弥が引き止めに入って来て動けないままだった。
はやくも2週間以上も経過して、これ以上はいられないと思ったヒカル。
今日は週末で仕事も休みで、奏弥は用事で出かけていて凜もそれに着いて行っている為誰もいない。
黙って出てゆくには絶好のチャンス。
仕事で顔を合わせても、居場所は答えなければいいだろう。
そう思ってヒカルはこっそり荷造りをして、誰もいない隙を狙って宗田家を出た。
とりあえず駅からちょっと離れた場所にあるホテルに、暫く滞在してその間にどこか賃貸を探そうと考えていた。
こっそりと宗田家を抜け出したヒカル。
そのまま駅前まで向かって歩いていた。
宗田家から駅までは徒歩だと15分くらいはかかる距離だが、さほど苦痛ではない距離だ。
荷物もさほどなく、凜が渡してくれた着替えはそのまま置いて来た。
幸樹が着替えを届けてくれたが、それも必要ないと置いて来てしまった。
とりあえず自分ですべたたらしいものを買えばいいと思ったヒカル。
賑わう駅前まで歩いて来たヒカルは、先にショッピングモールで必要な物を買う為に歩いていた。
すると…。
交差点に差し掛かる手前で、イカツイガラの悪そうな男がじっとヒカルを見ているのが目に入った。
ヒカルは背を向けて歩いている為、男が見ている事に気づいていないようだ。
歩いているヒカルの背後から男が近づいて来た。
気が付かないまま歩いているヒカルの背後に近づいて来た男は、懐から警棒のような凶器を取り出した。
ヒカルの背後に近づくと、勢いよく凶器を振り上げた男!
ハッと何か気配を感じたヒカルは振り向いた!
その瞬間。
バコッ! と、勢いよく男がヒカルに殴りかかって行った!
凶器がヒカルの額に当たり、痛みに額を覆ったヒカルだが、すぐさま男の鳩尾にケリを入れた!
鳩尾を蹴られた男は痛みで、その場に蹲った。
「…お前。…誰に頼まれた? 」
いつも以上に低いトーンで男に尋ねたヒカル。