あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
そんなある日。
愛香里はとうとう生死をさ迷うほどにまで悪化してしまい、入院していた。
このままドナーが現れなければ、延命治療も長くは続かないと医師から言われて、養女として引き取った幸樹は必死にドナーを探していた。
日に日に弱って行く愛香里は、もうすぐ自分も姉の元へ行けるのだと思っていた。
だが奇跡的にドナーが現れ、適合する心臓が手に入った!
藁をもすがる思いで幸樹は「お金はいくらでも出しますので、娘を助けて下さい! 」と必死になっていた。
心臓移植が行われ。
愛香里は一命をとりとめた。
暫くリハビリを繰り返して3ヶ月経過した後には、信じられないくらい元気になった愛香里。
愛香里は誰が心臓をくれたのか気になり、調べてみた。
なかなか個人情報もあり、調べる事に苦戦しながらも日に日に心臓から伝わって来る強くて暖かい優しさを感じるようになった。
(幸せになって下さい。みんな、愛香里さんの幸せを心から祈っています)
そう聞こえてくるようになり、嬉しさを感じていたが辛さも感じていた。
この心臓をくれた人はきっと、もっと生きたかったに違いない。
なにか深い愛を感じるから…。
苦戦していた調査がようやく兆しを見せた時、愛香里に心臓をくれた人が誰なのか判明した。
宗田香弥…。
そう、凛太朗の5歳下の弟だった。
凛太朗と同じ歩道橋で転落した香弥だったが、外傷はなくただ打ち所が悪く亡くなった「脳死」だったのだ。
ドナー登録をしていた事から臓器は必要な人へ移植され、心臓は愛香里に移植された。
家族も同意しているとの事だったが。
愛香里は、それを知ってものすごく苦しくなった。
自分のせいで凛太朗が死んでしまたのに、弟の香弥から心臓をもらうなんて許されないと…。
そう思う中、愛香里は香弥も里菜に突き落とされた事実を掴んだ。
凛太朗に続き香弥まで…いったい何人殺したら気がすむのだろうか?
これは自分が止めるしかない…殺人鬼の里菜を…。
そう決めた愛香里は短大を卒業して、警察官の道を目指した。
そして警察官になり2年弱で刑事まで出世した愛香里。