あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
火傷を背負った男
そのビラは奏弥の元にも届いていた。
「なるほど…。これで一本の糸が繋がったか…」
奏弥は遠い昔になっている過去を思い出した。
双子の弟の翔次が射殺されたときの事を。
もう30年以上も前の話し。
翔次を射殺したのは谷塩さやかと言う人物で、結婚を断った翔次を逆恨みして妹を脅して射殺させようとしたが失敗して自分で殺しに来たのだった。
その後、さやかの刑は確定している。
現在のさやかは不明であるが、複数の男と関係を持っていたさやかだ! 妊娠している話は聞いていないが、後から発覚したのかもしれない。
「歴史は続くのか…。それとも…ここで終わらせる為なのか…」
窓の外から景色を眺めながら奏弥は弟の翔次の事を思い出していた。
奏弥と翔次はは真逆なタイプだった。
奏弥は体が弱く心臓も弱かった事から、病気で倒れる事が多くずっと両親を独占していた事から翔次は孤独に過ごしていた事から両親に反抗して生きていた。
だが最後に「至らない息子でごめんなさい」と言って死んでいった…。
やっと翔次に歩み寄れ、これから兄弟としてともに歩いてゆけると思える時の出来事で奏弥もショックが大きかった。
そしてかつて同僚で相思相愛だった彼女が翔次と一緒に暮らしていた事も、複雑な気持ちだった。
だが翔次が射殺され、残された彼女は翔次の子供を身ごもり一人で出産して育てていた。
偶然子供と出会った奏弥。
(なんでパパとして選んだのに一緒にいてくれないの)
と突然言われて奏弥は間違いなく翔次の子供であると確信した。
子供を通して翔次の本当の気持ちを知ることができた奏弥。
彼女が一人で子供を産んで、その子供が双子である事を知った奏弥は結婚を申し込んだがなかなか承諾してくれなかった。
そんな中、彼女は子供達を宗田家に返して一人で去って行こうとしたが奏弥が引き止めた。
ようやく想いが通じ合えて結婚出来た彼女。
それが今の奏弥の妻である凜。
そして翔次を射殺した犯人である、塩谷さやかは凜の血の繋がらない姉でもあった。
複雑な関係の中心あkら愛する人と結ばれて、幸せを手に入れたと思われていたが。
30年以上も経過して再び悲劇が起こるとは…。