あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
(…とうとう動き出したわね…)
不意に声がしてハッと振り向いた里菜。
すると血まみれの太ったヒカルが立っているのが見えた。
「…またあんた? 」
(私しつこいの…あんたが消えるまでずっと追いかけてあげるから)
「死んだ人人間が何をできるって言うの? 」
(死んでいるから怖いものはない…。人の怨念って怖いものよ)
「負け犬の遠吠えね」
居直る里菜を血まみれんヒカルはニヤッと笑ってみて、そのまま消えて行った。
「…負け犬がどれだけ吠えても仕方がないわ。…こうなったら、みんな消えてもらうしかないわね」
ニヤっと笑った里菜は、携帯電話を取り出して電話をかけ始めた。
「もしもし? …あんた、お金欲しいって言っていたわよね? どう? 100万…いいえ、500万払うわ。一人、消してくれない? 手段はどうでもいいわ、引き殺しても構わないから…。ええ…。名前は城原ヒカル、宗田ホールディングで社長秘書をやっているわ。写真は後で送るから…。分かったわ、先払いで500万送るわ。…確実に殺してちょうだいね…」
電話を切った里菜はフフっと笑ってその場を去って行った。
歩いて行く里菜を、じっと後ろで見ていた輝樹がいた。
「…人の目は背中に着いていませんからね。…」
そう呟いた輝樹の手には、ICレコーダーが握られている。
どうやら、里菜が電話をかけていた内容を録音していたようだ。